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徒然日記

演劇鑑賞会

今週は仕事が忙しくて…午前中パートのはずがほとんどフルタイム出勤(苦笑)
今日予定していた演劇鑑賞会も行けるかな~と不安でしたが、何とか仕事をやっつけて行ってきました。

今日観劇したのは、加藤健一事務所公演『木の皿』
木の皿って?
いつも演劇鑑賞会は予習なしなので(ヅカと違って…苦笑)、何のことやらわからぬまま開演ぎりぎりに着席。入り口で頂いた解説の載った会報を読む暇も無く幕があがりました。

木の皿の意味するものは…どこの家庭にもおこりうる、身につまされるせつないお話でした。
このお芝居を観て感じたことを忘れないためにも、ちょっとだけ感想を書いておこうと思います。

まだ公演中なのでちょっと蓋をしますね。






時は1950年代、場所はアメリカのテキサスの田舎町。
78歳のロン(加藤健一さん)は次男のグレン(新井康弘さん)一家と暮らしている。
グレンの妻クララ(西山水木さん)は結婚以来20年間ロンの世話をしてきたが、体力、視力も衰え、しょっちゅう物を壊したり、煙草の不始末で火事を起こしそうになったりしても、未だに頑固な義父に苛立ちを隠せない。
しょっちゅう食器を落としてこわしてしまう義父に、クララは『木の皿』で食事を提供している。
『木の皿』はロンのプライドを傷つけ、彼はますますかたくなになる。
クララはやさしくしようと思うが、彼の頑固さについついきつくあたってしまい、彼の世話をすることに限界を感じて、老人ホームに入れるよう夫に懇願している。
『自分の人生を生きたい』という妻の願いに、グレンはロンを老人ホームに入れる決心をし、費用をグレンの兄フロイド(金尾哲夫さん)にも負担してもらうため、緊急事態発生という電報を打ち、兄を呼び出す。
しかし、ロンは『老人ホームに行くくらいなら死んだ方がましだ』と言い放ち、妻のクララからは『お父さんを老人ホームにやらないのなら私が出て行く』と最後通告を突きつけられる。
頼みの綱の兄からは『お金は出すからグレンのいいようにしてくれ』と下駄を預けられ、娘のスーザン(加藤忍さん)には、『おじいちゃんを老人ホームにやるなら、私が出て行く!』と言われ…。
グレンの家の下宿人、クララの友人、ロンの友人、老人ホームのスタッフ、それぞれの思いも複雑に絡んで物語りは進んでゆく…。

グレンの家のセットだけで場面転換も無く、休憩も無しの2時間少々の舞台。
もし30年位前の私だったら、きっと娘のスーザンに共感し、何て酷い両親!と憤慨しおじいちゃん可愛そうと単純に思えたかもしれない。
でも、もう半世紀を生きてしまった私には(苦笑)、クララの気持ちも痛い位わかるし、ロンの姿は自分の行く末と重なる。
そして、妻と父の板ばさみで悩むグレンにも共感できる。
また、お金は出すから…と下駄を預けてしまう兄の身勝手さを、悲しいとは思うけれど、責める気にはなれない。
結局、誰も悪人ではない。
でもどこかで気持ちがすれ違ってしまい、結果として言い争いになる…。
何だかせつないな~と思いました。
どこの家庭でも起こりうる話だと思うし、テーマも重い。
でもこの作品は2003年に初演され、以来今回が再々演だそう。
何度も再演されるほどこの芝居が支持されるのは、やはり誰もが身につまされ、登場人物の誰かに自分の姿を見るからではないだろうか。

物語の終盤、どうにかして祖父を老人ホームにやりたくない孫娘のスーザンが、
『(ロンの友人が住むホテルに)部屋を借りたから、一緒に住もう!私も一緒に出て行く!おじいちゃんの世話は私がするから。』
とホテルの部屋の鍵をロンに渡す。
ロンは喜びながらもこう言う。
『私の人生は私が決める。』
そして、クララに
『私はお前のことが好きじゃなかったし、お前も私のことが嫌いだろう。だが今まで世話になった礼は言わないといけないな。ありがとう…』
そして彼は裏口から出て、老人ホームスタッフの車に乗り込んで行ってしまう。

ロンの出て行った家で、それぞれの思いでたたずむ家族。
キッチンの机の上には『木の皿』が残されている。
スーザンが言う。
『そのお皿私に頂戴。』
グレンが言う。
『そんなものどうするんだい』
スーザンが答える。
『お母さんだっていつかは齢をとるのよ…』

私の言葉不足で(台詞も実際のものとはちょっと違っていると思うけど)、このお芝居の雰囲気を十分には伝えられないのが残念です。
とっても考えさせられる、そして今の日本社会にも当てはまる部分のたくさんあるお芝居でした。

詳細をお知りになりたい方は『加藤健一事務所』で検索してみてください。
実際の加藤健一さんはまだ60歳。
でも舞台ではどう見てもよぼよぼの老人にしか見えず、終演後のロビーでお見送りに立って下さっている姿を見て肌の艶などから、まだお若いんだ~と実感した次第です。
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by hotei-fan-top | 2010-10-02 00:56 | 舞台